
アルバイト求人サイト「マイナビバイト」では、認知から求人応募までの間にある「検討層」へのアプローチを強化するため、マイナビバイトアプリにて「Brand Consideration」と「TikTok Market Scope(TTMS)」を活用した施策を実施しました。
日本初の取り組みとなる「Brand Consideration(トラフィック最適化)」の活用を含め、3つの広告メニューを並行して配信し、検討層への最適なアプローチを検証しました。
さらに、TTMSによる競合比較を通じて課題を可視化し、仮説立案から施策実行、効果検証までを一貫して実施。その結果、多くの成果と示唆を得ることができました。
今回は、株式会社マイナビの大関氏・小林氏、株式会社電通デジタルの髙橋氏・北岡氏を迎え、TikTok for Business Japanの渡辺・髙橋とともに、「Brand Consideration」と「TikTok Market Scope(TTMS)」の活用に至った背景から、施策を通じて得られた成果や学び、今後の可能性について伺いました。
⚫️TikTok for Business 渡辺(以下、渡辺):まずは、マイナビバイトのサービス概要について教えてください。
🟢株式会社マイナビ 大関氏(以下、大関):マイナビバイトは、株式会社マイナビが運営するアルバイト求人サイトです。マイナビは新卒採用領域で高い認知をいただいていますが、マイナビバイトにおいても、10代〜20代の学生を中心とした若年層に強みを持っています。全国各地のさまざまなアルバイト求人を掲載しており、多くの求職者の方々にご利用いただいています。
⚫️渡辺:これまでTikTok広告は、アプリインストール、会員登録などのローワーファネル施策を中心に活用されていたとのことですが、どのような成果や手応えがありましたか?
🟢大関:TikTokは、マイナビバイトがターゲットとする10代・20代の若年層との親和性が非常に高いプラットフォームだと感じていました。効率的にリーチできる点に大きな手応えを得ていました。
また、TikTokならではのUGC(ユーザー生成コンテンツ)風のクリエイティブは、広告色を抑えながら自然な形で情報を届けられる点も魅力です。広告に対して慎重な姿勢を持つユーザーに対しても違和感なくコミュニケーションを取れるプラットフォームとして活用できていたと思います。
大関 雅浩 氏
株式会社マイナビ
デジタルテクノロジー戦略本部 CXマーケティング統括本部 CXマーケティング第2統括部 ブランドコミュニケーション部 プロモーション課 課長
広告代理店にて10年以上にわたりWeb広告運用に従事。現在はマイナビバイトの集客領域を担当し、ToC向けマーケティング施策の企画・推進を担う。
⚫️渡辺:今回、これまでのローワーファネル施策に加え、新たなアプローチとしてミドルファネル施策に取り組まれた背景について教えてください。
🟠株式会社マイナビ 小林氏(以下、小林):これまでマイナビバイトでは、テレビCMや交通広告、デジタル動画広告など、認知向上を目的とした施策を実施してきました。また、定期的な調査を通じて認知度の推移も確認していましたが、認知から比較検討、さらには求人への応募といった行動につなげることに課題を感じていました。
加えて、近年はより若年層へのアプローチを強化していくという方針もあり、新たな打ち手を模索していました。そうした中でTikTok for BusinessのBrand Considerationというソリューションを知り、私たちの課題解決に合致すると感じたことが、今回の取り組みのきっかけです。
小林 妃奈 氏
株式会社マイナビ
デジタルテクノロジー戦略本部 CXマーケティング統括本部 CXマーケティング第2統括部 ブランドコミュニケーション部 プロモーション課
広告代理店にて営業および広告運用業務を経験。現在はマイナビバイトのWeb広告領域を担当し、インハウス運用や広告代理店との連携を通じたプロモーション施策に携わる。
🟣株式会社電通デジタル 北岡氏(以下、北岡):運用面で見ると、ローワーファネル施策だけを継続していくと、どうしても効率が頭打ちになるという課題がありました。
そのため、将来的にマイナビバイトを利用する可能性のあるユーザーとの接点を増やし、未来の検討層を育てていく必要があると考えていました。
一方で、人材業界では、ミドルファネル施策の評価指標が曖昧になりやすく、実施したくても効果を判断しづらいという課題があります。今回、TikTok for Businessでミドルファネルへのアプローチを可能にするBrand Considerationが提供されたことで、検討層を増やす新たな取り組みとして有効ではないかと考えました。
🔴TikTok for Business 髙橋氏(以下、TikTok 髙橋):多くの企業では、認知を目的としたブランド施策と、獲得を目的としたパフォーマンス施策をそれぞれ実施しています。しかし、その中間に位置するミドルファネルへのアプローチが十分にできていないケースも少なくありません。
背景には、ブランド施策とパフォーマンス施策を別組織で対応していたり、KPIが分かれていることに加え、検討層そのものを可視化しづらいという課題があります。その結果、認知は獲得できていてもコンバージョンにつながらなかったり、獲得施策だけを続けた結果、効率が頭打ちになったりするケースが見られます。
Brand Considerationは、クリックや視聴といった単一の指標だけではなく、複数のシグナルをもとに検討層を定義し、そのオーディエンスを拡大していくことを目的としています。
また、他の広告メニューと組み合わせることで、アッパーファネルからミドルファネル、ローワーファネルまで一貫したアプローチが可能になります。ユーザーの態度変容を段階的に促しながら、フルファネルでマーケティングを設計できる点が特長となっています。
⚫️渡辺:今回は3つの広告メニューを並行して配信されたとのことですが、どのような課題認識や仮説のもと、この設計にしたのでしょうか?特にBrand Considerationについては、どのような仮説や期待を持っていましたか?
🟣北岡:今回は、「Brand Consideration(通常配信)」「Brand Consideration(トラフィック最適化)」「パフォーマンスオークション(トラフィック目的)」の3つのメニューを並行して配信しました。
最大の目的は、「管理画面上のどの指標が、ユーザーの検討(態度変容)に最も寄与するのか」を正しく検証することです。
検討層向けのメニューが複数ある中で、どの最適化が最も効率よく検討層の拡大につながるのかは明確になっていませんでした。そのため、それぞれの配信結果を比較しながら、検討層への移行効率を検証したいと考えました。
また、検討層向けの配信を行うことで、将来的には獲得領域における効率改善につながるのではないかという期待もありました。
🟠小林:TikTokのアッパーファネルからミドルファネル向けのメニューに本格的に取り組むのは初めてだったため、まずはBrand Considerationが認知や検討の向上につながるのかを検証したいと考えていました。
また、従来のクリックやコンバージョンだけでは把握できないユーザーの反応にも期待していました。特に、いいねやコメントといったエンゲージメントを通じて、ユーザーがTikTok上でどのように反応しているのかを確認できる点にも期待していました。
北岡 葵衣 氏
株式会社電通デジタルパフォーマンスマネジメント部門 パフォーマンスマネジメント4部
DXコンサルティング企業にて金融・不動産領域の広告運用業務を経験後、2025年に電通デジタルへ入社。現在はSNS広告を中心に、ダイレクト領域のマーケティング支援を担当している。
⚫️渡辺:今回はTikTok Market Scope(TTMS)も活用して分析を行われましたが、その結果からどのような発見や気づきがありましたか?
🟣北岡:TTMSの活用による最大の発見は、通常の広告管理画面だけでは把握しきれない競合他社との比較を通じて、マイナビバイトにおける検討層のボリュームやユーザー動向を定量的に可視化できた点です。 また、年齢層やユーザー属性ごとの傾向も確認できたため、どの層においてエンゲージメント(反応)が高まりやすいのかを把握する上でも有効でした。 今回得られた示唆は、分析結果にとどまらず、現在の配信状況を踏まえた今後のターゲット設計やクリエイティブ開発にも活用し、さらなるユーザー層への効果的なアプローチにつなげていきたいと考えています。
🔴TikTok 髙橋:TikTok Market Scope(TTMS)は、広告およびオーガニック経由での流入に加え、TikTok内外のデータを活用し、ユーザーの態度変容を「Awareness(認知)」「Consideration(検討)」「Conversion(獲得)」の各ファネルで可視化できるインサイトツールです。
また、TTMSとBrand Considerationを組み合わせることで、ブランド施策によって接触したユーザーが、どのように検討やコンバージョンへ移行しているのかを把握することが可能になります。
今回の施策では、将来的なコンバージョン拡大につなげるために、まずはミドルファネルである「検討」のボリュームを増やすことを目指しました。Brand Considerationは、検討段階に到達する可能性の高いユーザーへ最適化して配信できるソリューションです。
そして、その配信によって実際に検討層が拡大したのかをTTMSで可視化・検証することで、施策の有効性を確認しました。
⚫️渡辺:TikTokは国内月間アクティブユーザー数(MAU)4,950万人(※1)を有し、人材業界でも重要なタッチポイントの一つとなっています。その中で、ブランド施策を中心に取り組む企業もあれば、パフォーマンス施策を中心に活用する企業もあり、その活用方法はさまざまです。一方で、フルファネルでアプローチできている事例はまだ多くありません。
今回の取り組みでは、TTMSによる分析をもとに課題を特定し、仮説立案から施策実行、効果検証まで一貫して行うことができました。このようなデータドリブンなアプローチは国内でもまだ多くなく、その意味でも非常に先進的な事例だと感じています。
※1:2026年5月末時点。TikTok調べ。ユーザー数はTikTokとTikTok Liteの合計(重複を除く)
⚫️渡辺:今回の施策はどのような成果につながりましたか?
🟠小林: まず大きな成果として、今回の主要指標である「検討数」が+1454%と、大幅に増加しました。
その影響もあってか、施策実施期間中の2026年2月に実施したブランド調査では、純粋想起・助成想起ともに前回調査からポイントが上昇しており、認知指標への貢献も確認することができました。
さらに、TikTokの獲得向けアプリ広告においても、配信開始前と比較してCPIの大幅な改善が見られました。検討層を増やすことで、最終的な獲得施策のパフォーマンス向上につながる可能性を確認できたことは、大きな成果だったと考えています。
また、クリエイティブ面でも新たな発見がありました。今回、Brand Consideration向けにUGC風の動画を制作し、配信・検証しました。
その結果、検討層へのアプローチにはUGC風の表現が有効であることを実感しました。獲得広告ではアプローチしづらいエントリー層に対しても、引きのあるコンテンツやストーリー性を持たせたクリエイティブが効果的に機能したと感じています。
これまでの獲得広告では、応募や登録を促すための訴求が中心でしたが、今回はユーザーが自然に視聴したくなるコンテンツを意識して制作しました。そうしたクリエイティブが成果につながったことも、今回の大きな発見の一つでした。
⚫️渡辺:今回の取り組みを通じて、どのような学びや今後の可能性を感じましたか?
🔵株式会社電通デジタル 髙橋氏(以下、電通デジタル 髙橋):これまでの広告運用では、「認知拡大」のフェーズから、いかに一歩踏み込んで「検討」フェーズにつなげるかが大きな課題でした。その意味で、Brand Considerationの活用は、今後の広告運用における新たなスタンダードを示すことができた取り組みだったと感じています。
また、今回の配信で特に大きな発見だったのが、クリエイティブに対する反応の違いです。当たり前のようでいて見落としがちですが、「認知に適した見せ方」と「獲得に適したデザインや訴求」は異なります。その差が今回の配信結果に明確に表れていました。
これまでは、獲得施策で成果の出たクリエイティブを横展開することもありましたが、今回の結果を通じて、検討層と獲得層では反応するクリエイティブが異なることを改めて実感しました。
今後はクリエイティブを「1つのキャンペーン用」として制作するのではなく、「検討層の心を動かすための訴求」と「獲得層を動かすためのデザインや訴求」を明確に分け、ファネルごとに役割を持たせながら企画・制作していく必要があると感じています。今回の取り組みは、そのための大きなヒントになりました。
⚫️渡辺:今回の検証を通じて、比較検討層に響きやすいクリエイティブの特徴について、何か見えてきたことはありましたか?
🔵電通デジタル 髙橋:今回の分析から、大きく2つの示唆が得られました。
1つ目は、マイナビバイトというブランドをしっかり認識してもらうことの重要性です。獲得広告では広告色を抑えた表現が効果的なケースもありますが、今回の施策では「マイナビバイト」というブランド名やロゴを明確に見せたクリエイティブの方が、比較検討につながりやすい傾向が見られました。
2つ目は、検討層との相関が最も高かった指標が「動画の完全視聴数」だったことです。ユーザーに最後まで動画を視聴してもらい、サービスへの理解を深めてもらうことが、検討につながる重要な要素だと考えています。
そのため、ストーリー性やエンターテインメント性を持たせ、ユーザーが離脱せずに最後まで見たくなるようなクリエイティブが、検討層の拡大に効果的だったのではないかと感じています。
髙橋 歩 氏
株式会社電通デジタル
パフォーマンスマネジメント部門 パフォーマンスマネジメント4部
化粧品メーカーにて商品企画やマーケティング業務を経験後、電通デジタルへ入社。現在はSNS広告運用を担当し、金融業界や人材業界を中心に、ダイレクト領域のマーケティング支援に従事する。
⚫️渡辺:クリエイティブ制作、広告運用の両面において、今後、どのようにPDCAを回していこうと考えていますか?
🟢大関:今回の取り組みを通じて、どのようなクリエイティブが認知や比較検討につながりやすいのか、さまざまな示唆を得ることができました。今後はその知見を活かしながら、より多くのクリエイティブを制作し、検証を重ねていきたいと考えています。
特にTikTokはトレンドの移り変わりが非常に速いプラットフォームです。少し前まで効果的だった表現が、数か月後には通用しなくなることも珍しくありません。そのため、クリエイティブの量産と高速なPDCAがますます重要になると感じています。
その中で、今後は生成AIを活用したクリエイティブ制作にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。会社としても体制が整いつつありますので、生成AIを活用しながら多くのパターンを検証し、若年層や学生に響く訴求を探っていきたいです。
また広告運用においても、マイナビバイトの強みである若年層や学生へのアプローチをさらに強化するため、新しい手法やソリューションにも積極的にチャレンジしていく方針です。
🔴TikTok 髙橋:人材業界では、ブランドコミュニケーションにおいてテレビCMなどのクリエイティブを横展開するケースも多く、生成AI活用については「品質面が不安」「社内承認が難しい」といった声を伺うことも少なくありません。
そのような中で、組織として運用ルールや審査基準を整備しながら生成AI活用を進められている点は、とても先進的だと感じています。
髙橋 侑子
TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Client Solutions2
🟢大関:実際に、静止画領域ではすでに生成AIを活用したクリエイティブ制作を開始しています。次のステップとして動画領域への活用も視野に入れており、社内のルールづくりを進めながら、組織全体で活用を推進していきたいと考えています。
🔵電通デジタル 髙橋:今回の取り組みを通じて、「検討層を動かし、獲得につなげる」という一連の流れでの成功パターンが見えてきました。
広告運用の観点では、すでにBrand Considerationで獲得した検討層オーディエンスに対し、獲得向けのアプリコンバージョン広告を配信しています。配信ボリュームにはまだ課題があるものの、ある程度CVにもつながっており、ミドルファネルで獲得した検討層を、ローワーファネルでの獲得につなげる流れができつつあると感じています。
また、クリエイティブのPDCAについても、今回得られた「ファネルごとの反応の違い」に関する知見を活かしていきたいです。
例えば、「このファネルにはこのデザイン」「このファネルにはこのメッセージ」といった仮説を立てながら検証を重ね、マイナビバイトのターゲットに響くクリエイティブの勝ちパターンをファネルごとに蓄積していきたいと考えています。
🔴TikTok 髙橋:今回のような「TTMSで課題を可視化し、仮説を立てて施策を実行・検証する」というアプローチは、人材業界においてまだ始まったばかりです。
特に今回実施したBrand Consideration(トラフィック最適化)の活用は、日本初の取り組みとして実施された非常に先進的な事例でした。
マイナビ様には新しいチャレンジを積極的に受け入れていただき、電通デジタル様には丁寧な分析と運用を行っていただいたことで、ブランド指標と獲得指標の両面で成果を確認することができました。
また、TTMSはユーザーの態度変容を計測するだけでなく、ファネルごとに、ユーザーを動かしたクリエイティブを分析することも可能です。アッパーファネル・ミドルファネル・ローワーファネルではユーザーのインサイトが異なるため、それぞれのファネルに最適なクリエイティブを検証しながらPDCAを回していくことが、今後の重要なテーマになると考えています。
人材業界に限らず、比較検討期間が長く、ブランドへの信頼形成が重要なカテゴリにも同様の課題があります。今後はこうした知見をさまざまな業界へ展開していきたいと考えています。
⚫️渡辺:今回のお話を伺い、今後の大きなテーマは、各ファネルに応じたクリエイティブ制作の推進だと考えています。
TTMSを活用しながらユーザーインサイトを分析し、ファネルごとに最適なクリエイティブを検証・改善していきたいと思います。
その中で、ミドルファネルからローワーファネルへの遷移を促進するためにBrand Considerationも積極的に活用しながら、各ファネルにおけるユーザーの関心・行動特性に合わせたクリエイティブ制作や訴求の最適化にも取り組んでいきます。
渡辺 紘樹
TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Industry4 Recruiting and Real Estate, Client Partner