日本上陸TikTok Shopで快進撃―王子製薬が達成したROAS4.2倍、GMV45倍超

10月 21, 2025

※このインタビューはAdverTimes.にて2025年10月15日に広告掲載したものです。

日本上陸TikTok Shopで快進撃―王子製薬が達成したROAS4.2倍、GMV45倍超

エンターテインメントプラットフォームから、コマースの新たな主戦場へ。TikTokが満を持して日本でローンチした「TikTok Shop」は、“発見”から“購買”までの体験をアプリ内でシームレスに完結させるソリューションだ。日本でのサービス開始に合わせ、いち早く広告主として名乗りを上げたのが王子製薬。ライブコマースと広告、オーガニック運用を組み合わせ、全体流通総額(GMV)の底上げに驚異的な成果を上げたその挑戦の裏側とは。同社ライブコマース部の千葉花香氏と、TikTok for Business JapanのJason Chang氏に話を聞いた。



日本上陸TikTok Shopで快進撃―王子製薬が達成したROAS4.2倍、GMV45倍超



ディスカバリーEコマース「TikTok Shop」が日本上陸

今やグローバルでソーシャルコマース市場を牽引する存在となったTikTok。ショート動画やLIVE配信を通じて商品を“発見”し、興味を喚起され、そのままアプリ内で購入まで完結する。このシームレスな購買体験は「ディスカバリーEコマース」と呼ばれ、目的買いが中心だった従来のECの常識を覆しつつある。



このモデルは2021年以降、アメリカや東南アジアなどで急速に拡大。そして今年6月末、満を持して日本でも「TikTok Shop」がローンチした。TikTok for Business JapanのJason Chang氏は、その最大の価値をこのように語る。



「これまで、多くのプラットフォームでは広告接触から購買までのデータが分断され、正確な効果測定が困難でした。TikTok Shopは、動画やLIVE配信を見て商品を“発見”するところから、“決済”までをアプリ内で完結。クライアントはリアルタイムかつ正確に広告効果を把握することができます。タイムリーに自社の商品に興味を持つユーザーにリーチし、購買までつなげられる。これが他のプラットフォームとは異なる最大のポイントです」



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TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Scaled Business Acceleration team, Unit Lead Jason Chang 氏




アプリ内で注文と決済が完結「壁がなくなった」

この新たなソリューションにいち早く可能性を見出し、先駆けて導入に踏み切ったのが、洗剤や化粧品を手掛ける消費財メーカーの王子製薬だ。今年の2月から同社で本格的に始まったライブコマースを、専属LIVEクリエイターとして牽引する千葉花香氏は、導入の経緯を語る。



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王子製薬 ライブコマース部 千葉花香 氏




「当社はシンガポールをはじめ海外でも事業を展開しており、そこではライブコマースがプロモーションの主軸となっていました。日本でも本格的に展開したいと考えていた矢先、TikTok Shopローンチの情報を聞き、すぐに導入を決めました。ローンチ直後の店舗が少ない段階で始めることで、先行者としてのポジションを確立したいという思いもありました」



ライブコマースは、LIVE配信の映像内で商品やサービスを紹介し、視聴者にその場での購入を促す販売方法。LIVE配信中に視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取ることで、視聴者の疑問をその場で解消したり、購買意欲を高めたりすることができる。王子製薬では、千葉氏をはじめ3人のLIVEクリエイターがライブコマース部門の企画から配信、分析までを一貫して担う。ローンチ以前は、TikTok LIVEから自社ECサイトへ誘導していたが、そこには大きな壁があったという。



「LIVE配信を出る、つまりTikTokアプリを離れて、ECサイトに遷移し、商品をカートに入れて、決済のための入力をする。この数クリックの間に、多くのお客様が離脱してしまっていました。TikTok Shopでは、TikTokアプリ内で注文と決済が完結。その壁がなくなり、お客様との距離がぐっと縮まった感覚があります。案内する商品は同じでも、売上という目に見える数字はもちろん、リアルタイムで購入額が分かることで生まれる“接客”の肌感覚においても、大きな変化を感じています」




熱量の高いコミュニティが購買を後押し

現在、1回あたり4時間から6時間という長時間のLIVE配信をほぼ毎日実施している。この継続的な取り組みが、熱量の高いコミュニティを形成し、安定した売上を生み出している。

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自社のスタジオからLIVE配信をほぼ毎日行う



「配信時間を延ばせば延ばすほど、コメントや『いいね』が増え、『おすすめ』フィードに表示されやすくなり、新しい視聴者が流入してきます。当初、TikTokユーザーは10~20代が中心だと思っていましたが、現在は年齢層がより高い方も多く利用されています。デジタルネイティブ世代にフィットするよう、LIVEではあえて少しくだけた話し方を心がけているのですが、50代の主婦層の方々が娘のように応援してくださることも多いです」(千葉氏)



同社の主力商品であるジェルマジックボール「Ka(カーポッド)」や「arFUM(アフューム)」は、洗剤と洗濯ビーズの組み合わせによってさまざまな香りを楽しめる点が特徴だ。気軽に試しやすい価格帯の日用品でありながら、嗜好品のような側面も持つ点も、LIVE配信と相性が良いと語る。



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「arFUM(アフューム)」は主力商品のひとつ



「ただ『洗うため』の機能だけに特化した商品とは異なり、遊びの感覚で洗剤を選べます。でも、アクセサリーや洋服のように衝動買いをしても罪悪感がない。この新しい買い物体験が、主婦の方々の心をつかんでいるようです。LIVE中も、お客様同士で『私はこの組み合わせが好き』といった会話が自然に生まれ、口コミが広がっていく。楽しみながら買い物ができる、この感覚こそがライブコマースの醍醐味です」と千葉氏は語る。




LIVEと広告の相乗効果を図るソリューション

王子製薬の成功は、熱心なLIVE配信だけでなく、それを加速させる広告ソリューションの活用があってこそだ。LIVE配信を行っていない時間帯も、制作したUGC風のオーガニック動画を自社アカウントで複数投稿。LIVE配信でリーチできなかった層にもアプローチし、購買の取りこぼしを防いでいる。



この一連の取り組みの背景には、TikTokが推奨する購買行動モデル「5Aマーケティングファネル」の思想がある。顧客が商品を認知(Aware)し、魅力に惹かれ(Appeal)、LIVE中のコメントなどで調査(Ask)し、シームレスに購買(Act)へと至り、最終的に熱量の高いファンとして推奨(Advocate)するという5つのステップで顧客の旅路を可視化するものだ。



Chang氏は、王子製薬の取り組みを「まさにこの5Aファネルを理想的な形で実践されている」と高く評価する。


「まず、オークション広告で設定できるキャンペーン目的の一つで、TikTokアカウントへのエンゲージメントを促す『コミュニティインタラクション』を活用し、ファンベースの育成を徹底されました。これは、5Aファネル全体、特にエンゲージメントを高めてブランドへの愛着を育て、Advocate(推奨)につながる強固な土台を築くことに特化したものです。この熱量の高いファン基盤があったからこそ、TikTok ShopでのAct(行動)への転換がスムーズに進んだのだと考えています」



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認知から推奨まで、「5つのA」を踏まえたソリューション活用の一例




そして、このAct(行動)を最大化するために活用されたのが「GMV Max」だ。動画形式の「Product GMV Max」とLIVE形式の「Live GMV Max」からなり、流通総額(GMV)と投資対効果(ROAS)の最大化を目的とした全自動型の広告ソリューションである。



「GMV Maxの画期的な点は、広告経由のトラフィックだけでなく、オーガニックのトラフィックもAIの学習対象とし、全体の成果が最大化されるよう配信を自動で最適化する点です。広告担当者が管理画面に張り付いて手動で調整する必要はなく、ROI、クリエイティブ、予算の3つを設定するだけでAIが最適な運用を行います。これにより、広告運用の障壁は劇的に下がりました」(Chang氏)



この戦略的なアプローチの結果、王子製薬はTikTok Shop広告経由で対前月比GMV成長率+4593%、ROAS 4.2倍という驚異的な成果を達成した。




「楽しみながら買う」時代へ

今回の成功を受け、千葉氏はオンラインとオフラインの垣根を越えた、さらなる展開に期待を寄せる。



「これまでの買い物は『買う』ことが目的でしたが、今はTikTokで楽しみながら買う、という新しい体験が生まれています。LIVE配信を通じて生まれたコミュニティは、私たちLIVEクリエイター抜きでも盛り上がり、自動的に口コミを発生させてくれる。いつかはこのオンラインの熱量を、リアルなイベントにも発展させていきたいです」



Chang氏も、今後の展望をこう語る。



「TikTok Shopという大きなソリューションを、今後もクライアントの皆様と共に磨き上げ、日本の市場ニーズに合わせてさらに進化させていきたいです。今回の王子製薬様のように、自社ECサイトをお持ちの企業をはじめ、中小から大手までさまざまな業界でのご利用が増え続けており、すでに多くの実績も出ています。ぜひ、ご自身のビジネスに合った形で、この新しいディスカバリーEコマースを体験していただきたいです」


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