生活者の悩みに寄り添う情報を発信 “理解の解像度”を高め、CV数を向上

2月 17, 2026

エンタープライズのマーケティング戦略 第3回 東京海上日動あんしん生命 ※このインタビューは日経ビジネスにて2026年2月13日に広告掲載したものです。

生活者の悩みに寄り添う情報を発信 “理解の解像度”を高め、CV数を向上

国内月間アクティブユーザーが4200万を超え*1、幅広い年齢層にリーチできるプラットフォームとして企業の活用が進むTikTok。複雑なイメージの保険商品を生活者視点でわかりやすく伝える手段としてTikTokを活用しているのが、東京海上日動あんしん生命だ。

日本のトップ企業が、どのような戦略のもとに生活者コミュニケーションを行っているのかを検証するシリーズ企画の第3回では、東京海上日動あんしん生命 DXマーケティング部 ディパートメントヘッド 永田将貫氏に話を聞いた。

(聞き手:河井保博=日経BP 総合研究所 所長)



生活者の悩みに寄り添う情報を発信 “理解の解像度”を高め、CV数を向上


ネット専業を含めて、40社以上がひしめく生命保険業界。保険商品は差別化が難しく、加入前に価値を実感しづらいという特有の構造があるため、各社は“目に見えない商品”の特徴をどのように伝えるかという共通の課題を抱えている。

また少子化、人口減少などによる市場環境の変化に対応し、競争力を強化するDX(デジタル・トランスフォーメーション)も急務だ。

そうしたなか、東京海上日動あんしん生命は、「わかりやすさ」「納得感」「透明性」をキーワードに、生活者の“理解負荷”軽減を目指し、動画を活用したマーケティングに取り組んでいる。




⚫️ネット保険も増えて競合も多いと思いますが、他の保険会社と比較して、御社の強みや課題を教えてください。



🔵永田将貫(以下、永田):差別化が難しい業界ですが、当社にはいくつかの強みがあります。

1つ目は商品の“独自性”です。例えば、メディカルKit Rという商品は、「使わなかった保険料が戻る」「健康だった期間に価値がある」という設計で、“掛け捨てはもったいない”という心理をカバーします。2013年1月に発売したのですが、10年以上経った今でも資料請求の半分以上を占める人気商品です。

2つ目は、東京海上グループの“信頼性”です。生命保険は長期にわたりお客様の人生に寄り添う商品だからこそ、ブランドの信頼は重要です。

3つ目は、お客様本位のコミュニケーションです。私どもの部署はデジタルを推進する役割ですが、すべてデジタルで完結するのではなく、デジタルで興味を持ってもらい、その後、代理店や直販社員の説明で納得してもらうのが現時点ではベストミックスだと考えます。


保険商品は、良さが伝わるまでに説明が必要で、複雑に感じやすい。目に見えない商品をどのようにお客様に届けていくのかは各社共通の課題だと思います。



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東京海上日動あんしん生命 DXマーケティング部 ディパートメントヘッド 永田将貫氏



⚫️デジタルマーケティングにはいつ頃から取り組まれていますか?



🔵永田:注力し始めたのは2015年ぐらいからです。以前は家族や知人、直販社員など誰かに勧められて生命保険に加入するケースが多かったのですが、昨今は自分で調べて納得して入りたいという人が増えています。


そうしたなか、この業界では比較的早いタイミングでデジタルマーケティングに踏み出した方だと思います。


5年ぐらい前から成果が顕著になり、現在デジタルマーケティングの予算は10年前の約20倍になっています。



⚫️どのような点にデジタル化のメリットを感じますか。



🔵永田:保険商品は紙のパンフレットで確認するのが一般的でしたが、デジタルとなり、動画も見られるようになると、お客様の理解という意味で、だいぶ解像度が上がるのではないかと感じます。


若い人の認知度やCV(コンバージョン)が上がりましたが、ミドル・シニア層もデジタル経由での加入や資料請求が増えています。



⚫️どのような方針でメディアやプラットフォームを使い分けているのですか?



🔵永田:媒体のバランスを取るのでなく、効果の高い媒体の比重を高めています。


TikTokをはじめとする動画プラットフォームのウエイトが大きくなっています。動画は月に数十本、TikTokだけでも年間200~300本を制作しています。



⚫️視覚的にわかりやすい方が響く、調べ物をするとき、検索ではなく、動画で勉強するという声をよく聞きます。



🔵永田:どのプラットフォームでも動画が良いというのではなく、ユーザーの視聴(利用)目的に合わせることも大事ですね。


TikTokのユーザーはそもそも動画を見るために使っている。その中になじむ動画でユーザーの悩みを織り交ぜつつ、商品メリットを伝えてCVに導ける商品のプロモーションに向いていると思いました。


当初TikTokは若年層へのリーチに期待していましたが、意外にもミドル・シニア層からの反応が良かった。この幅の広さは実際に利用してみての驚きでした。



⚫️テレビなど従来のメディアとの違いは感じますか?



🔵永田:従来のメディアの良さは、同じことを伝え続ける、刷り込みや認知獲得力にあります。一方、デジタルでは同じ動画を流していても、徐々に反応がなくなる。また、前回はこれが当たったのに今回は当たらないというケースもよくあります。公式解というよりは、現時点での最適解を常に模索している感じで、瞬発力が重要です。




TikTokは飲食、観光、ファッションやコスメなど様々なジャンルのコンテンツが投稿され、TikTok経由の2024年の消費額は2375億円と推定される*2。

産業別の消費額に目を移すと最も大きな割合を占めるのが「金融・保険」の475.9億円。 「ファッション・コスメ」「飲食料品」などを押さえてのトップは意外な印象もあるが、「堅い」「難しい」イメージの業界が、実はTikTokとの親和性が高いことがうかがえるデータだ。




⚫️特に成果を実感した例を教えてください。



🔵永田:ミドル・シニア層に向けた緩和型医療保険の動画は成功例の一つです。ミドル・シニア層がTikTok経由でコンバージョンしてきて、幅広い層にリーチできることを実感しました。TikTokとミドル・シニア層という意外な組み合わせで成果が出た事例です。



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ミドル・シニア層に向けた緩和型医療保険はTikTok経由で多くのCVを獲得




⚫️どこが刺さったのだと分析しますか?



🔵永田:ユーザーの普段の行動を再現しているような動画が良かったのだと思います。例えば、緩和型医療保険の動画は、持病があるからあきらめている人に「入れる保険があるよ」とお勧めするようなストーリーで、商品の詳しい内容はランディングページに任せています。身近な会話の内容を紹介するような動画で、実生活に当てはめてもらいやすいユーザーに寄り添った内容にしていました。そのまま資料請求につながり、その件数が想定以上でした。



⚫️TikTok活用やデジタルマーケティングがうまく行っていると感じます。ポイントはどこにありますか?



🔵永田:生保出身と損保出身、そして社外出身というチームメンバーの多様性も要因の一つだと思います。生保畑の専門性に、損保出身の経験、保険未経験者の一般ユーザーに近い感覚が加わって、新しい発想が生まれると思います。


また、TikTok for Business Japanさんに、ショートドラマといった最新のトレンドをはじめ、効果を高めるための様々なアドバイスやご協力をいただいていることも大きいです。



⚫️TikTokの活用に二の足を踏んでいる経営者や担当者もいるかと思います。そんな方たちに対して、なにかアドバイスはありますか。



🔵永田:金融商品は保険に限らず、銀行も証券も複雑だと思いますが、TikTokでは動画として噛み砕いてわかりやすく説明ができ、ユーザーにも見てもらえる。また、TikTokは生活者の悩みに寄り添えるプラットフォームなので「うちの商品は難しく、ユーザーに理解してもらいにくい」と悩んでいる企業ほど、向いているのではないかと思います。まずは小さく、1つのメッセージで始めることをおすすめします。




競争が激しい生保業界にあって、東京海上日動あんしん生命が、グループである損害保険会社や社外出身というチームメンバーの多様性、競合他社に先行したデジタル化への注力など、自社の特徴を最大限に生かしたマーケティングに取り組んでいることが印象的でした。 そうした柔軟で合理的な姿勢は「複雑な商品をわかりやすく伝える」手段として、TikTokを活用している点にも共通します。特に、TikTokの特性を生かし、伝わりやすさを意識し、商品説明ではなく、潜在顧客が困っていること、なんとなく不満や疑問を感じていることにフォーカスしたメッセージを打ち出しているところが成功している要因だと思いました。今回、堅いイメージで、顧客年齢層が幅広い保険商品での成功例を聞き、TikTokが理解と共感をもたらしCV向上に寄与すること、若年層だけでなく、ミドル・シニア層にも高い効果があるという認識を強くしました。

<インタビューを終えて>
日経BP 総合研究所 所長 河井保博

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日経BP 総合研究所 所長 河井保博




*1:TikTok調べ。ユーザー数はTikTokとTikTok Liteの合計(重複を除く)

*2:「TikTok Socio-Economic Impact Report〜日本における経済的・社会的影響〜」(2025年6月発行)