検索ボリュームが50%アップ!検索から購買までオンライン・オフライン両方でユーザーを動かした「メディキュット」のTikTokキャンペーン

10月 07, 2024
検索ボリュームが50%アップ!検索から購買までオンライン・オフライン両方でユーザーを動かした「メディキュット」のTikTokキャンペーン

着圧ソックスのリーディングブランド「メディキュット」は、若年層に向けた“着圧ソックスを履く習慣の提案”を目的としてTikTokキャンペーンを実施。ユーザーの検索・購買行動を促し、ECのみならず、店頭での売上拡大を実現しました。


「メディキュット」ブランドとしては日本で初めてTikTokを活用した背景から、具体的な取り組みや成果まで、レキットベンキーザー・ジャパン株式会社 大谷 真輝人 氏、Septeni Japan株式会社 仙波 学 氏、山崎 里紗氏、安藤 龍之介氏、TikTok for Business Japan 樋口 隆文が語り合いました。



🔵TikTok for Business Japan 樋口(以下、樋口):この度、TikTokでキャンペーンを実施した「メディキュット」の商品概要を教えてください。また、これまでどのような広告メディアやプラットフォームを活用されてきましたか?



🔴レキットベンキーザー・ジャパン株式会社 大谷氏(以下、大谷):「メディキュット」は、英国の医療用ストッキングをルーツに持つ、日本の段階圧力ソックスのリーディングブランドです。


「健やかで美しい脚をサポートする」というスローガンのもと、定番の「寝ながら」「おそとで」シリーズ、「着圧パジャマ」シリーズ、一般医療機器の「メディカル」シリーズに加え、近年では男性用の着圧ソックス「フォーメン」など、世代・性別を問わずどなたでもご利用いただける幅広いラインナップを展開しています。


これまでは、ブランドのアンバサダーをメインキャラクターとして起用したTVCMを軸に、SNSを連動させてきました。


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レキットベンキーザー・ジャパン株式会社 Digital E2E Marketing Team Manager 大谷 真輝人氏



🔵樋口:今回のキャンペーンは、セプテーニがあらゆる面でサポートされたとのことですが、セプテーニではこれまで、TikTokに対してどのような体制で取り組まれてきましたか?



🟢Septeni Japan株式会社 仙波氏(以下、仙波):当社では、TikTokの広告が日本でローンチされた2018年に、コンサルティングやプランニング、メディアのチームを中心とした「TikTok LAB」という社内横断プロジェクトを組成し、TikTokとしっかり向き合う体制を整えてきました。このプロジェクトチームは、TikTokの運用について常に研究し、TikTokを通じて、戦略的に顧客ビジネスを成長させられるようなハブ組織として機能しており、これまで数多くの企業のサポートに取り組んできました。


今年4月に開催された「TikTok for Business Japan Awards 2024」では、これまでの「TikTok LAB」を中心としたブランド、ダイレクト領域双方における複数業種での広告配信実績が認められ、社内外での中長期的な取り組みによってビジネスインパクトを創出した代理店として「Agency Category」でGold Awardを受賞しました。また、TikTok for Businessが推奨する運用手法である「TikTok Quest」における取り組みについても評価され、Quest特別賞も受賞しました。


2024年度からは、TikTokにおけるクリエイティブの重要性を改めて考慮し、新たにショート動画開発部を立ち上げました。クリエイティブディレクター、クリエイティブプランナー、さらにショートドラマの企画や脚本を手がけるスペシャリストを集めた縦型動画に特化したチームで、縦型×クリエイティブにおいて重要な、クリエイティブの量と質の改善や独自ケイパビリティの提供を行っています。


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Septeni Japan株式会社 統合マーケティング本部 メディア戦略推進部(兼務:ショート動画開発部) マネージャー 仙波 学氏




タッチポイントとしての影響力とASEANでの評判が、TikTok活用を後押し


🔵樋口:レキットベンキーザー・ジャパンでは、今回初めてTikTokをご活用いただきましたが、どのような課題解決を目的にTikTokを選びましたか?



🔴大谷:TikTokを選んだ理由としては大きく2つあります。


TikTok for Business Japan主催の年次イベントに参加した際、TikTokを活用してユーザーを動かしているという他社の成功事例を聞き、タッチポイントとしての勢いを感じたというところが1つ。それから、レキットベンキーザーはグローバルで展開していますが、特にASEANの市場に強く、その担当者からTikTokの効果が高いという共有があったことが、もう1つの理由になっています。


「メディキュット」が抱えていた課題は主に3つあり、1つ目が「ブランド認知のアップデート」です。


アンケート結果から、過去のCMのイメージからブランド認知がアップデートされていないユーザーも存在することが判明しました。そこで、新しいクリエイティブと新しい広告メディアを掛け合わせ、ブランド認知をアップデートするチャレンジをしたいと考えました。


2つ目が「若年層へのリーチ」です。「メディキュット」は、着圧ソックスを履く習慣を提案するブランドなので、エントリーとなる若年層へのリーチが不可欠です。TikTokであれば、現状、TVCMではリーチしきれない若年層に、きちんとブランドを届けることができると思いました。


3つ目が「使用シーンの提案」です。着圧ソックスを「履く理由」や「使用シーン」を明確に伝えなければ、面倒に感じたり、生活習慣に取り入れにくくなるため、履く習慣を定着させることが困難になります。TikTokは縦型動画での表現の幅が広く、短尺でユーザーへ情報を伝えることができるため、使用シーンの提案に最適です。また、UGCにもチャレンジしたかったので、TikTokの活用は優先すべきだと考えました。




ECへの遷移を目的に活用したTopViewが、店頭での購買も促進


🔵樋口:「メディキュット」のキャンペーンでは、具体的にどのような取り組みをされましたか?



🔴大谷:複数のクリエイティブと広告プロダクト(Brand Auction(ブランドオークション)、Performance Auction(パフォーマンスオークション)、TikTok Pulse(パルス)※、TopView(トップビュー))を組み合わせ、マルチなクリエイティブをマルチなタッチポイントで投下することで最適な投下方法が探れるよう、セプテーニに設計していただきました。

※日本では現在β版テスト中。正式ローンチ時期未定。


TopViewは、キャンペーンのヤマを作り、ECプラットフォームのイベントを最大化する目的で活用しました。


クリエイティブに関しては、従来の「メディキュット」のTVCMやキャンペーンでワークしてきた表現やフレームワークをTikTok向けの縦型動画で活用するというチャレンジに、セプテーニとともに取り組みました。UGCには、レビュー系やコメディ系など様々なフォーマットがあるので、複数のフォーマットを試してみて、「メディキュット」にフィットする表現は何かを探るスキームとしました。



🔵樋口:複数の広告プロダクトを組み合わせたとのことですが、広告配信の設計においてどのような工夫をされましたか?



🟠Septeni Japan 株式会社 安藤氏(以下、安藤):「メディキュット」のブランド認知はかなり高いですが、今回のプロモーションの目的は、“「メディキュット」の使用により得られるベネフィットへの理解の幅を広げたい”ということでしたので、ミドルからローワーファネルにフォーカスした配信メニューを設計しました。


ファネルごとに異なるクリエイティブと配信メニューを活用し、配信期間中に少しずつ購入意向が醸成されることを意識しました。


工夫した点で言うと、通常、TopViewは認知を最大化するために活用することが一般的ですが、今回はECへの遷移を目的にTopViewを活用し、セール訴求によって購買へとつなげました。


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Septeni Japan株式会社 第二アカウント本部 第一営業部 アカウントプランナー 安藤 龍之介氏



🔵樋口:TikTokではクリエイティブが重要な要素ですが、クリエイティブを制作する上でこだわっている点はどこですか?



🟣Septeni Japan 株式会社 山崎氏(以下、山崎):今回のプロモーションでは、ターゲットである若年層に“メディキュットって自分たち向けのブランドかも”と感じてもらえるような、TikTokに馴染みやすいクリエイティブを目指しました。


さらに「商品を手に取りたい」と思っていただくために、セリフやナレーションの言葉遣いや細かな美術、衣装にもこだわり、直感的に「可愛い!」「わかる!」と感じてもらえるものにしています。


冒頭にはユーザーを引き込むためのフックを作り、後半では「メディキュット」を履くことのメリットをビジュアルや音で伝え、セリフもテロップとして常に表示されるようにするなど、伝えたい情報を届けながら、テンポの良い展開で飽きさせない工夫をしています。動画の構成づくりにおいては、最近TikTokで流行しているショートドラマのフォーマットやTikTok for Businessが提供しているTipsもかなり参考にしていますね。


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Septeni Japan株式会社 統合マーケティング本部 統合クリエイティブ部 クリエイティブプランナー 山崎 里紗氏


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“TikTok売れ”は、再現性をもって起こすことができる


🔵樋口:“TikTok売れ”という現象が起こるように、TikTokはオンラインに留まらず、オフライン(店頭)への大きな影響力も持っています。TikTokとオフラインの親和性について、どのように感じていますか?



🔴大谷:今回のキャンペーンは、TikTokから直接ECに遷移させる設計でしたが、オフラインにも大きなインパクトがあり、売上にも貢献できたと感じています。


TikTokは、オフラインとの親和性が高いのはもちろん、拡張性が高いこともオフラインでのインパクトにつながっていると思います。


今回、なぜユーザーがECだけでなく店頭へ足を運んでくれたかというと、TikTokには、UGCやクリエイティブのフォーマットなど表現方法が豊富にあり、ブランドの魅力を表現する手段が多いので、オンライン・オフラインを問わず、ユーザーの購買行動を起こしたことが要因だと考えています。


今後はオンラインにとどまらず、店頭や販促との連動も視野に入れ、TikTokを起点にユーザーを動かすチャレンジをしていきたいですね。



🟢仙波:セプテーニ独自の調査では、TikTokで広告を視聴したユーザーの半数以上が「TikTokを見て、他プラットフォームでも検索をする」「実際にショップへ行く」「ユーザー同士で会話し、商品理解を深める」といった商品検討行動を起こす ということがわかっています。


まさに今回の「メディキュット」のキャンペーンでも見られましたが、TikTokには「TikTokの中で話題になり、トレンドを生み出す」という文化があると感じています。


当社が手掛けた案件にも、オーガニック投稿や広告を経由して、オンライン・オフライン問わず、購入意向を高めたり、実際の購入に結びついたりした実績が多数あり、「TikTokの動画を見て、実際に商品を購入する=TikTok売れ」という一連の流れが存在することを実感しています。


TikTokがユーザーの視聴後のアクションの意向に影響を与える背景には2つの要因があります。まず1つ目がプラットフォームの特性です。TikTokは音声をONにして視聴しているユーザーが多く、また、縦型フルスクリーンで没入感が高いため、ユーザーに対してメッセージを強く印象付けることができます。


もう1つは、「おすすめフィード」にUGCが多い点です。UGCという第三者の視点から商品の魅力や利用シーンを訴求できるため、ジブンゴト化するイメージが湧きやすく、高い利用意向につながりやすくなっています。


TikTokのプラットフォーム特性とユーザー特性を踏まえ、ユーザーインサイトをクリエイティブに落とし込み、キャンペーンを設計すれば、再現性をもって“TikTok売れ”を起こすことができると思っています。




重要なのは、どれだけユーザーの態度変容を起こすことができたか


🔵樋口:今回のTikTokのキャンペーンでは、どのような成果が得られましたか?



🔴大谷:今回のキャンペーンは、ROASが非常に高く、オンライン・オフラインの両方で売上につながったため、直接的な成果を得ることができました。


ECの検索ボリュームリフトを測定したところ、キャンペーン期間中はプラス50%程度伸びており、TikTok広告に接触した後、検索行動や購買行動につながっていることが確認できました。また、ブランドリフト調査でも、広告による商品認知に有意なアップリフトが見られました。


「メディキュット」の場合、「着圧ソックス」よりも「メディキュット」というブランド名で検索するユーザーが多く、ブランド指名での検索が売上に連動するため、検索行動が増えると売上も伸びていきます。


TikTokでのキャンペーンが売上に直接影響を与える施策になったため、弊社としても大きな意義のある取り組みだったと思います。



🔵樋口:今回、セプテーニと連携して取り組まれましたが、それによってどのようなことが得られましたか?



🔴大谷:どうしても視聴数やクリック数など数値化できることにフォーカスしてしまいがちですが、それらはあくまでも広告の投下効率性を示すものであり、重要なのは「その広告がどれだけユーザーの態度変容に影響を与えたのか」ということだと考えています。キャンペーンの実施期間中や実施後に、態度変容の度合いをどのようにして追跡するかという点をセプテーニにサポートしていただきました。


また、広告はリーチの量よりも質にフォーカスすることが重要だということが、今回のTikTokでのキャンペーンで得られた大きなラーニングだと認識しています。セプテーニとの連携によって、購買につなげるための次の打ち手を考え、アップデートした施策を運用していくことにワンチームで取り組めていると感じています。




TikTok広告のオフラインへの効果をデータによって可視化していきたい


🔵樋口:今後、どのようにTikTokを活用したいと考えていますか?


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TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Strategic Agency Manager 樋口 隆文



🔴大谷:「メディキュット」については、2024年下半期も引き続き、TikTokを活用していきたいと考えています。さらに、ターゲットや取り組みの方向性が「メディキュット」とは異なる他のブランドについても、TikTokであれば新しいチャレンジができると思いますので、今回の施策のラーニングを活かしたいです。



🟠安藤:今回のキャンペーンでは、TikTok for Businessとも密に連携させていただきました。


例えば、TopViewで「Shake Surprise」と「Super Like」という2つのインタラクティブアドオンを活用して効果差を検証した事例は、これまでにない取り組みでした。レキットベンキーザー・ジャパン、TikTok for Business、セプテーニの3社の密な連携がプロモーションの成果につながったと感じているので、今後も3社で連携しながら、クリエイティブ表現の幅を広げる施策や、新たに開発されたプロダクトを積極的に活用していきたいと思います。



🟢仙波:TikTokには、すでに豊富なプロダクトが存在していて幅広いクリエイティブ表現が可能なので、それらを最大限に活かしながら、お客さまの事業に貢献できるキャンペーンを実施していきたいです。例えば、今回のメディキュット様でも活用したインタラクティブアドオンの「Shake Surprise」の活用を前提に、そこから逆算してクリエイティブの表現に落とし込む、という手法にも取り組んでいきたいです。


また、ミドルファネルにおいてTikTokをより積極的に活用していきたいと思っています。縦型動画はミドルファネルとの相性がかなり良いので、すでにニーズが発生しているユーザーの囲い込みに最適なアプローチ方法を研究していきたいと考えています。



🟣山崎:今回のキャンペーンは、プラットフォーム、ターゲット、クリエイティブという3つが上手く噛み合い、成果につながったと思います。クリエイティブには様々な表現方法があるので、効果を生み出した要因をしっかりと分析し、Tipsとして蓄積していくことで、再現性の高いクリエイティブ制作を実現していきたいと思います。



🔵樋口:TikTok for Businessには、どのようなことを期待していますか?



🔴大谷:広告主として、大きく3つのことを期待しています。


1つ目は、来店計測など広告効果の指標と計測方法のアップデートです。「TikTokを見たユーザーが、実際にどのような行動を起こしたか」を可視化でき、より解像度が高くなることを期待しています。


2つ目は、ブランドのクリエティブ表現の幅を広げていくことです。「メディキュット」の場合、薬事法による表現の制限があるので、TVCMで得たノウハウやフレームワークと最新の表現方法を組み合わせることで、クリエイティブ表現の幅が広がるような広告プロダクトを開発していただけると嬉しいです。


3つ目は、グローバルで成果を上げているプロダクトの日本でのローンチです。グローバルでは、メディアやプラットフォームのコマース化が進んでおり、日本ではまだローンチされていない「TikTok Shop」についてもかなり評判が良く、成果を上げています。グローバルでトレンドになっているプロダクトにも期待しているので、積極的にキャッチアップしていきたいと思っています。



🟢仙波:TikTokとオフラインとの相性が良いことは、すでに様々な事例を通じて証明されています。今後は広告効果を、データによってしっかり可視化していきたいですね。これは、現在セプテーニが注力しているオンオフ統合マーケティングにおいて、かなり重要な鍵になります。



🔵樋口:セプテーニは、TikTokへの理解がかなり深いと思います。それは、クリエイティブやプランニングの可能性を最大化する上で非常に重要です。


また、TikTokの新しいプロダクトへの対応力や取り組むスピードの速さには、目を見張るものがあります。その背景には、プラットフォームやプロダクトの特性への理解があり、それがフットワークの軽さにつながってセプテーニの大きな強みとなっているのではないでしょうか。今後も連携を続けながら、様々な取り組みができればと思っています。


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