世界のアプリ市場が成熟するにつれ、ユーザーのライフタイムバリュー(LTV)とROIを最大化するために、インストールイベントのその先を考えることがマーケターに求められています。この変化は、インストールだけでなく、購入、登録、レベル達成など、アプリ内で価値の大きい特定のイベントを引き起こしてくれる新規ユーザーを見つけられるようになることを意味します。アプリイベント最適化(AEO)は、単価をコントロールしながら、それを実現するための力を提供します。
例えば、インストール数が多い一方、顧客のLTVが低い旅行アプリがあるとします。このアプリはユーザー獲得戦略にAEOを活用することで、「購入」をキャンペーンで最適化する主要なイベントとして設定できます。TikTokは、データインサイトを用いて、ターゲット条件に合致し、かつ購買意欲の高いユーザーに対して広告を配信する予定です。同様に、ゲームアプリは レベル達成を選択し、広告主が価値があると判断したレベルを完了する確率が高いユーザーをターゲティングできます。
学習期間:新規キャンペーンを配信開始した際、AEOは、広告主が最適化したいアクションを実行しているユーザーから十分なデータシグナルを取得するために、ある程度の時間を要します。イベントの最適化はイベントコンバージョンが一回報告された段階で可能になりますが、各キャンペーンの準備が整い、潜在能力を発揮しきるまでにはもう少し時間を要します。この期間を「学習期間」と呼びます。入札・予算・クリエイティブに大きな変更を加える前は、AEOキャンペーンを数日間は辛抱強く配信することが大切です。
専用キャンペーンについて:TikTokはAppleのSKAdNetworkに対応するため、専用キャンペーンを作成しました。iOS 14以降のユーザーをターゲットにするには、広告主は専用キャンペーンを作成する必要があります。これには独自の設定が必要になり、留意すべきベストプラクティスもそれぞれ異なります。
Appleのプライバシーのしきい値:iOS 14以降のユーザーにAEOキャンペーンを配信する場合、Appleのプライバシーのしきい値を施行するSKAdNetworkの使用が必要になります。この種類のAEOキャンペーンでは、1日あたりのアプリインストール数が少なくとも90を記録するよう、AEOキャンペーンのパフォーマンスをモニタリングすることが大切です。このインストール数に到達しない場合、SKAdNetworkはコンバージョンデータを保留し、TikTok AEOキャンペーンが正しく測定されない可能性があります。 保留されたこれらのコンバージョンは、SKAdNetworkによって無効なコンバージョンとして報告され、TikTok上での正確なAEOキャンペーンのパフォーマンスを歪めることになります。
高品質なクリエイティブ:AEOを成功に導く秘訣は、エンゲージメントを起こす楽しい広告を作成することにあります。オーガニックなTikTokのように見える広告を作成し、ユーザー作成コンテンツも活用しましょう。広告セットをまたいで同じクリエイティブを使用しないようにしてください。パフォーマンスをモニタリングし、パフォーマンスが低下したらクリエイティブを更新しましょう。ベストプラクティスは、数日ごとにクリエイティブを更新することです。
十分な広告セット予算およびイベント入札額:目標成果単価上限を使用する場合、該当イベントの過去のCPAに基づいて入札額を設定してください。
深層ファネルの購入イベントにおける1日当たりの広告セット予算は、イベントの入札額の10倍以上でなければなりません(入札なしの場合は過去のCPAの10倍以上)。
ログインやコンテンツの表示など、浅層・中層ファネルのイベントにおける1日当たりの広告セット予算は、イベント入札額の20倍以上でなければなりません(入札なしの場合は過去のCPAの20倍以上)。
AEOソリューションには「一回のみ」と「毎回」という、購入イベントのコンバージョンの最適化と計測方法が異なる二種類が存在します(Androidでのみ利用可能)。この2つのソリューションは、イベント集計設定以外にも、基本的な製品構造やベストプラクティスを共有しています。
「1回のみ」は、ユーザー1人あたりの購入イベントを基準に最適化・計測を行うため、最低1回以上の購入が見込めそうなユーザーを探し、そのユーザーが複数回購入した場合でも、そのユーザーのユニーク購入(最初の購入)のみをキャンペーンにアトリビューションします。このソリューションは、1回の購入イベントに依存するアプリのマネタイズモデルに最適で、短い期間での複数購入は意味をなさないという広告主向けです。
例えば、ユーティリティアプリが「1回のみ」のAEOキャンペーンを実施し、ユーザーAを獲得したとします。ユーザーAは、その後、ユーティリティサービスの契約という1回の購入のみ行いました。このユニーク購入は報告され、そのキャンペーンの総購入単価とROASに考慮されます。しかし、ユーザーAがさらに購入した場合、そのキャンペーンの購入単価やROASの合計には加味されません。
「毎回」は、ユーザーごとの複数の購入イベントに基づいて最適化・計測を行います。複数回購入する可能性のあるユーザーを探し、そのユーザーが7日以内に購入したすべての商品をキャンペーンにアトリビューションできます。ユーザーごとに複数の購入イベントに依存するアプリの収益化モデルに最も適しています。特に、ソーシャルカジノ・スポーツベッティング・カジュアルジャンルなどのゲームアプリに関連します。フードデリバリー・デートまたはライフスタイル・eコマースなど、ゲーム以外のアプリもこのソリューションの恩恵を受けることができます。
例えば、ソーシャルカジノアプリが「毎回」のAEOキャンペーンを実施してユーザーBを獲得し、その後、ユーザーBが3回購入(すべてスポーツ賭博)したとします。3回すべての購入は報告され、そのキャンペーンの課金単価およびROASに考慮されます。
「毎回」を利用できるのは、購入イベントに最適化されたAndroidアプリ内のイベントキャンペーンでのみです。あらかじめご注意ください。
地域 | OS | プレースメント | キャンペーンタイプ | 最適化 | 入札タイプ | イベント |
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グローバル | Android | ・TikTok ・Pangle | アプリインストール | アプリ内イベント | ・最大配信 ・目標成果単価上限 | 購入 |
初期設定では「毎回」が選択されています。「毎回」と「一回のみ」を切り替えるには、 アトリビューション設定 の横にある鉛筆アイコンを選択し、詳細アトリビューション設定とイベント集計オプションを開いて 「一回のみ」を選択します。
この設定は個々の広告セットに対してのみ適用されます。
一度設定を完了し、広告セットが有効化されたら、イベント集計の変更はできなくなります。
「1回のみ」と「毎回」の設定のパフォーマンスを比較できるように、A/Bテストに対応しています。「毎回」の設定
課金単価およびROASは「毎回」のパフォーマンスを測定するための主要なKPIです。
「毎回」に設定すると、CPAとコンバージョンが毎回の購入ロジックを反映するようになります。
注:この更新をもって、バリューベース最適化に毎回の計測の変更が引き継がれます。これは、VBOキャンペーンにおけるコンバージョンの報告方法に影響します。これにより 「コンバージョン」 は、ユニーク購入だけでなく、すべての購入コンバージョンを反映します。
AEOの広告キャンペーンの開始時は、サンプルデータが不十分であるため、CPAが一時的により高くなる可能性があります。この期間を学習期間と呼びます。
イベントのコンバージョンの増加に伴ってシステムのモデルが徐々に改善され、最適化の効果も高まります。
20~50回のイベントコンバージョン後、最適化が改善し、CPAが低下します。
50回のイベントコンバージョン後、学習期間が終了し、効率的な最適化が観測されます。
最適化したいイベントが深部に位置しているほど、システムが学習期間を通過するのに時間がかかる可能性があります。
入札額、予算、クリエイティブ素材、配信対象デモグラフィックを大幅に変更すると、学習期間の大きな妨げとなり、学習期間をやり直す事態が起きる場合もあります。
学習期間中に変更が必要な場合は、1日1回までにとどめ、入札額または予算を10%以上変更することは避けてください。
登録またはレベル完了など、アッパーおよびミドルファネルのイベントの場合は、平均CPAの20倍以上にします。
ローワーファネルの購入イベントの場合は、平均CPAの10倍以上にします。
注:日毎の広告セット予算は、目標成果単価上限および最大配信の両方の入札タイプにおいて、 必ず100米ドル以上 であるべきです。
AEOで利用可能な入札タイプは、 目標成果単価上限 と 最大配信(入札なし)の二種類です。利用可能な入札タイプは、OSにより異なります。
iOS向けのキャンペーン:最大配信
iOS/Android向け通常キャンペーン:目標成果単価上限/最大配信入札
目標成果単価上限を活用すると、広告主はAEOコンバージョンの入札額を制御できるため、単価を密接に制御したい広告主に適しています。
該当イベントの過去のCPAを参照し、それを目安に適切な入札額を設定してください。
注:学習期間中の入札額の調整は最大10%に留めてください。
また、その後の調整は可能な限り小さくし、いかなる場合でも50%以上変動させないようにしてください。
注: iOS DC用のAEOの目標成果単価上限入札は、現在「アプリプロフィールページ」では利用できません。広告主は、キャンペーン作成段階でアプリプロフィールページのチェックボックスのチェックを外す必要があります。チェックを外さない場合、広告セット作成段階で目標成果単価上限が利用可能な入札オプションとして表示されません。
最大配信を使用すると、システムが入札をコントロールし予算を最大化させることにより、広告主は選択した期間に特定の予算を与えられた場合、可能な限り最良の結果を導くことができます。
イベントの種類:広告主はカテゴリーおよび使用におけるニーズによって、最適化を行うイベントを選択できます。例えば、eコマースの広告主は、最適化イベントとして「カートに追加」を選択でき、ゲームの広告主は、最適化イベントとして「レベル達成」を選択することができます。
イベントの深度:広告主は、選択した最適化イベントによって、浅層ファネルと深層ファネルのイベントの、2つのレベルの最適化を狙うことができます。これらは、ユーザージャーニーのどの地点でイベントがトリガーされるかによってカテゴライズされています。すべてのイベントは種類を問わず1回のコンバージョンが発生すれば使用可能になりますが、パフォーマンスの最適化には異なる量のデータが必要になります。
アッパーおよびミドルファネルのイベント:これらのイベントは、ログイン・登録・コンテンツの表示など、インストールから数日以内にポストバックされるものです。イベントの階層が浅く、潜在的なユーザー数が比較的多いため、より多くのイベントをより短い時間で取得しやすくなります。
深層ファネルのイベント:購入などを含むこれらのイベントはすぐにポストバックされないため、ポストバックが行われる時間を予測できません。また、潜在的なユーザーが比較的少なく、獲得するのが難しいため、深層ファネルのイベントの最適化にはより時間がかかることをあらかじめご了承ください。
より柔軟に広告主のニーズに応え、導入件数を増加させるため、アプリイベント最適化の解放および迅速な導入を今まで以上に簡単に行い、成功へと導くことができるようになりました。以下の機能を活用するには、モバイル測定パートナーによるTikTokアプリIDの認証を行う必要があります。
しきい値:一つのイベント。
ウィンドウ:なし。最初のコンバージョンの受け取り後、イベントは常時解放された状態となります。
ソース:アトリビューションされている・されていないを問わず、すべてのイベントコンバージョンがAEOを解放できます。
単位:TikTokアプリID単位。
例:アプリAが広告主アカウント1で「購入」を解放した場合、広告主アカウント2でも「購入」イベントに向けた最適化が可能となります。イベントの再解放は必要ありません。
TikTokアプリIDは、それが使用されるすべての広告主アカウントにおいて、モバイル計測パートナー(MMP)との認証が行われている必要があります。
キャンペーンタイプ | 非DC(AndroidおよびiOS 14以前) | DC(iOS 14以降) |
イベント | ・購入 ・登録 ・カートに追加 ・サブスクリプション ・レベル達成 ・コンテンツの表示 ・注文 ・トライアル開始 ・検索 ・ログイン ・ローン申請 ・チームに加わる ・チュートリアル完了 ・支払い情報の追加 ・ 「アチーブメント」の開放(リターゲティングのみ) ・アプリ内広告インプレッション(リターゲティングのみ) ・アプリ内クリック(リターゲティングおよびSDKのみ) ・アプリを起動(リターゲティングのみ) ・リード獲得(リターゲティングのみ) | ・購入 ・登録 ・カートに追加 ・サブスクリプション ・レベル達成 ・コンテンツの表示 ・注文 ・トライアル開始 ・検索 ・ログイン ・ローン申請 ・チームに加わる ・チュートリアル完了 ・支払い情報の追加 |
解放のしきい値 | TikTokアプリID単位でイベントが1回記録されました。 | TikTokアプリID単位でイベントが1回記録されました。 |
入札タイプ | 最大配信および目標成果単価上限 | 最大配信 |
最大配信および目標成果単価上限についての詳細は「入札タイプ」を参照してください。
アトリビューション詳細設定下での購入イベントでは、1回および毎回の集計オプションが選択できます。
非アトリビューションイベントをTikTokと共有すると、AEOイベントの解放につながるだけでなく、最大6%のAEOパフォーマンスの改善にもつながります。イベントの数が多いほど、パフォーマンスのポテンシャルも高まります。
AppleがApp Tracking Transparency(ATT)フレームワークの施行を発表した後、TikTokはこの変化に適応するためにiOS 14専用キャンペーン(DC)を開始しました。アプリイベント最適化はiOS 14専用キャンペーンでもご利用可能ですが、iOS DCキャンペーンを利用して成功を収めるには、いくつかのユニークな要素に注意する必要があります。
iOS 14(およびiOS 14以降)のトラフィックをターゲットとするには、SKAdNetworkの設定とデータ制限に適合する専用キャンペーンを選択する必要があります。
詳細は、「iOS14アップデートの影響と対策の概要」を参照してください。
ATT施行前(2021年4月26日以前) | ATT施行後(2021年4月26日以降) | |
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専用キャンペーン(DC, Dedicated Campaign) | iOS 14以降 | iOS 14以降 |
専用キャンペーン以外(Non-DC) | すべてのトラフィック | AndroidおよびiOS 14以降 |
TikTok広告マネージャーの「キャンペーン」ページで、「新規作成」をクリックします。
オーダータイプとして「オークション」、広告目的として「アプリプロモーション」を選択します。
アプリプロモーションタイプとして「アプリインストール」を選択します。
アプリプロモーションタイプで「アプリリターゲティング」を選択し、AEOリターゲティングキャンペーンを実施することも可能です。
「設定」で適切なキャンペーン名を入力します。
タイトルに「AEO」を含めることを推奨します。「続行」を選択します。
広告セット名を入力します。次に、適切な「オーダータイプ」を選択し、ドロップダウンリストよりアプリを選択します。
広告プレースメントを選択します。
「自動プレースメント」を選択すると、複数のプレースメント(TikTok、Pangleなど)に広告が表示されます。
「手動プレースメント」を選択すると、選択したプレースメントにのみ広告を表示するよう制限できます。AEOでは両方が選択可能です。
「ターゲティング」でオーディエンスターゲティングモードを選択します。
幅広いオーディエンスを確保するため、「自動ターゲティング」の使用が推奨されます。希望の地域および言語を選択します。
「予算とスケジュール」で「日予算」を選択します。
アッパーおよびミドルファネルのイベント:過去のCPAの20倍以上。
ローワーファネルのイベント:過去のCPAの10倍以上。
スケジュール設定は、好みや戦略に合わせて調整してください。
「 入札または最適化 」を「 アプリ内イベント」より選択し、最適化目標を決定します。
次に、最適化したいアプリ内イベントを選択します。
「入札と最適化」で入札タイプを選択します。
目標成果単価上限:入札額を設定し、費用を制御します。
目標成果単価上限の入札額は、過去のイベントCPAをご参照ください。
最大配信では、システムが入札を選択し、1日の広告セット予算を最大化します。
はい、編集できます。ビジネスの目標(インストール、イベントコンバージョン、または価格)に最適な戦略をご選択ください。
MAIを実行すると、過去のクリエイティブパフォーマンス、オーディエンスパフォーマンス、予算と入札のベストプラクティスのベースラインについて良質なインサイトが提供される可能性があるため、AEOキャンペーン前に役に立つことがあります。
トリガーポイントとは、購入やその他の深層ファネルイベントの先行指標となるような、特に価値のあるイベントとして認識されたものを指します。
例えば、ゲームアプリでレベル5に到達したユーザーは、プレイを継続する可能性が10倍も高くなります。その結果、購入に至る可能性が高いということを特定することができます。この場合、収益およびLTVに向けて最適化を行う際、レベル5に到達することが主要なトリガーポイントとなります。
上記のトリガーポイントの例を使用すると、MMPで「レベル5に到達」のイベントをTikTokの標準の「レベルに到達」イベントと紐付けることができます。こうすることで、TikTokで「レベル達成」に最適化されたすべてのAEOキャンペーンが、貴重なトリガーポイントに向けて最適化されます。
いいえ。同じ広告主アカウントを使用していたとしても、アプリのiOS版とAndroid版の両方でそれぞれのイベントを解放する必要があります。
はい、編集できます。イベントは、アプリに基づいて引き継がれます。ただし、新しいTikTok広告主アカウントに読み込むたびに、TikTokアプリIDをMMPで認証いただく必要がございます。
キャンペーン開始後2日以内に、以下のいずれかに気づいた場合となります。
インプレッション数が0である
予算消費が0である
インストール数が非常に少なく、CPI(インストールごとの単価)が高くなっている